シリンダーの速度制御と空気圧安全システムの関係

機械安全/労働安全

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自動化システムの進歩により製造業者の生産性は大幅に向上しました。各製品の仕様把握および検査や機械の部品の位置検出を利用した機械制御により、機器の高速化と品質の向上が可能になりました。

 

同時に安全性も向上され、作業者が機械を操作する必要が大幅に減少しました。しかし、自動化された機械は、自律的ではありません。材料の挟み込みや部品/コンポーネントの故障であっても、作業者は状況を確認して、事態を改善する必要があります。このため、作業者と保守担当者は、物詰まりの除去やその他日常的な生産関連の問題解決などの作業のために、機械の潜在的に危険な領域に近づく必要があります。

 

これらの生産関連の問題解決は、もちろん安全な方法で行わなければなりません。安全制御システムの進歩により、これが可能になっています。

 

一般的に受け入れられている機械安全システム設計の最良事例には、関連するタスク、予見可能な誤使用及び部品/コンポーネントの故障などを考慮してリスクアセスメントを完了することが必ず含まれています。安全システムは、部品/コンポーネントの損傷や早期の摩耗を引き起こすようなものであってはなりません。

 

 

しかし、この損傷は、「機械サイクルのあらゆる場面で起こる可能性のある停止コマンド」、または「各部品/コンポーネントの急激な動きを引き起こす空気圧エネルギーの再供給」により引き起こされる可能性があります。早期摩耗は、故障とメンテナンス関連の作業頻度を増やし、結果作業者が機械に近づく頻度を増加させます。

 

以前の空気圧安全は、機械の動きを止めて制御するいくつかの主要な部品/コンポーネントで構成されていました。そのため、シリンダーを固定するためにクローズドセンターバルブを使用することは非常に一般的でした。このバルブは、シリンダーの両側に圧力を閉じ込め、一般的に望ましい効果をもたらします。しかし、このアプローチは3つの重要な問題を無視しています。その3つとは、低速または固着したバルブ、スプリング機能に依存する弁体のセンター位置のテスト、及びスプールバルブを使用した際の漏れの影響です。これら3つの問題全てが、シリンダーの危険な動きを引き起こす可能性があります。

 

バルブの応答が遅いため、シリンダーの動きが予想より長く続く可能性があります。通常の操作では、5/3クローズドセンターバルブは、安全イベント時を除いて、センター位置を使用せずに片側から反対側にシフトする場合があり、中心位置を試されていない場合、バルブは通常の操作と同様に、単純にシフトする可能性があります。クローズドセンターバルブは、シリンダー両側の圧力を封じ込めますが、片側の漏れが大きいとシリンダが動き出し、もしシリンダーが垂直可動の場合、クローズドセンターバルブはシリンダーの上側の圧力を維持しているところ、加圧してしまい、潜在的に危険な状態を作ってしまいます。

 

 

バルブの動きが遅いと、中心位置に到達するまでに時間がかかるため、機械が停止するまでの時間が長くなります。また、中心位置が安全停止にのみ使用される場合で、両方のソレノイドがOFFの時に、バルブが実際に中心位置に移動することを定期的に確認されていない場合が多いですが、この場合、バルブ内のスプリングが壊れていたらどうなりますか︖

 

また、シリンダーラインまたはシリンダーピストンシールのいずれかに漏れがあると、シリンダー内に不均衡な圧力状態が発生し、予期しない動きが起こる可能性もあります。

 

このことが原因で、5/3オープンセンターバルブまたは5/2スプリングリターンバルブと組み合わせて電気制御式空気圧排気バルブが使用されるようになりました。排気バルブは、通常システムの下流側から空気圧を除去するために使用される3/2ノーマルクローズバルブです。これらの排気バルブは、現在でも安全システムの一部として使用されるているため、他の安全関連システムと同じ安全カテゴリ要求(またはパフォーマンスレベル)を満たす必要があります。この排気バルブと方向制御バルブの構成により、システムから全ての空気圧エネルギーが除去されるため、バルブが故障しても、空気圧エネルギーによって機械が動作し続けることはありません。

 

 

より早い応答性と即時の停止が必要になる速度や負荷の場合は、必要に応じてパイロット操作の逆止弁を使用します。この使用方法により、空気圧の供給が両方のシリンダーラインから取り除かれ、パイロット操作チェックバルブがシリンダー内に圧力を閉じ込めることによって、シリンダーを所定の位置に保持します。水平方向に設置されたシリンダーは、その両側に圧力を閉じ込めますが、重力が要因となる垂直に設置されたシリンダーは、通常シリンダーの下側にのみ圧力を封じ込めるだけで問題ありません。

 

この3/2高制御信頼性排気バルブ5/2スプリングリターンもしくは5/3オープンセンターシリンダーバルブ、及びパイロット操作チェックバルブは、自動化装置で使用される最も効果的な安全回路です。最終的な目標は、シリンダーが完全に押し出されているか、完全に引き込まれているか、または中間位置にあるのかに関係なく、サイクルのどの時点でも停止できるように、より機械を安全化することです。

 

 

機械を停止する主な理由は2つあります。1つ目は、生産に関連する停止で、もう一つは保守時の停止です。生産関連の問題は、リスクアセスメントを実施して、必要なタスクを遂行するために安全な状態にあり、それをが維持されるようにする必要があります。保守時の問題は、ロックアウトが必要で、機械が動かないようにメカニカルブロックの手順を必ず踏まなければならなく、安全停止に影響を及ぼす理由で、選択的に封じ込めた圧力を開放しなければならないことです。

 

作業完了後の次のステップは、機械を安全に再起動させることです。空気圧の再供給により、機械の予期せぬ動きを引き起こしたり、機械の損傷を回避したりしなければなりません。昔は、「疑わしいときは、メーターアウトで制御しなさい。」と言われていました。流量制御をしてシリンダーから排出される空気の流れを減らすことにより、反対側からどれほど早く空気圧が加えられても、シリンダーの速度を制御できるからです。

 

これは特に、摩擦、流量、体積及び負荷の組み合わせによって引き起こされるメーターインスリップスティックの問題を防ぐために有効です。このメーターアウトの仮定は、一次側空気圧供給とリシンダーの全て、または一部から空気圧を除去する安全システムでは必要ありません。この安全システムでは、空気圧を再供給した時、またはバルブとシリンダーの最初のサイクル中に、シリンダーの暴走につながるメータアウト制御が必要な圧縮空気が、シリンダー内に残っていません。

 

 

この問題の別の解決策は、シリンダーをメーターイン制御することです。流量制御弁(スピコン)を使用してシリンダーへの空気圧の流れを制御することにより、シリンダーの動きを制御することが出来ます。この方法は、摩耗、流量、体積及び負荷がスリップスティック問題を引き起こす場合を除いて、ほとんどのアプリケーションに有効です。また、垂直荷重がシリンダーシールの静摩擦に打ち勝つのに十分である場合、上側のメーターイン制御機器は、重力だけでシリンダーが落下してしまうため、シリンダーの下側に空気圧が残っており、メーターアウト制御機器が使用されている場合を除いて、望ましい速度制限効果が得られない場合があります。

 

メーターイン制御の代替手段は、安全イベント又は通常のシャットダウンの後で、最初に空気圧が供給された時に、システム全体をメーター制御する方法です。これは、『ソフトスタート』と呼ばれ、調整可能なプリセットポイントに達するまで空気圧がゆっくりと上昇してから、全ライン圧が下流側全てのコンポーネントに供給されます。この利点は、下流側のコンポーネントがゆっくりと所定の位置に移動するため、全ての箇所に、個々の流量制御コンポーネントが必要無くなるかもしれないことです。システム全体をソフトスタートする機器、又は使用箇所でのみソフトスタートする機器があります。アクチュエーターのメーターアウト制御と組み合わせたソフトスタート機器は、一見すると理想的なソリューションのようであり、場合によっては確かにその通りになります。

 

 

システム全体のソフトスタートには、問題がある可能性があります。ソレノイドパイロットバルブが下流にある左の回路例では、バルブは少なくとも最低作動圧力に達するまでスイッチをOFFにしておく必要があります。さもなければ、バルブが適切に切り替わらない場合があります。

 

これはまた、シリンダーが緩やかに始動するのではなく、バルブがONに切り替えられると即座に全圧を受けることになります。さらに、ベンチュリタイプの真空発生器などのアイテムが設置されている場合、それらはシステム内の漏出機器のように機能してしまい、ソフトバルブが全開流量に切り替えるのを邪魔します。また、安全排気バルブからサクションカップとクランプシリンダーを供給すると、安全停止または緊急停止が開始された時に、材料を落としてしまう可能性があるという追加の危険性が生じる可能性があります。この問題は、使用箇所でソフトスタートを使用して、真空発生器とクランプシリンダーへの供給を安全排気バルブの上流に移動させることで解決できます。

 

 

ソフトスタート機器の全体的な効果は、アクチュエータバルブ、停止時のシリンダーの位置、及び流量調整機器やパイロット操作チェックバルブなどの補助デバイスに完全に依存しています。 最初に考慮することは、安全システムの通常動作中にどの場所で空気圧が排気され又は封じ込められているかを見つけ出すことです。次に考慮することは、リスクアセスメントにより要求されるように、コンポーネントの誤動作中に空気圧が除去または閉じ込めらてしまう場所を見つけ出すことです。

 

空気圧エネルギーが再供給されると(ダイレクトソレノイドバルブを使用して、電気信号が再供給されていないと仮定した場合)、5/2スプリングリターンバルブによって制御される全てのアクチュエータは、非作動位置にゆっくりと移動し、またバルブが最初に通電された時に、適切な速度で移動します。機械は、規則正しく安全な方法で通常の静止状態に戻ります。もしスプリングリターンバルブが正常に機能しなかった場合、空気圧が再供給されるとシリンダーが誤った方向に動く可能性がありますが、その速度は低下します。

 

 

しかし、多くの連続プロセス機械にとって、休止状態に戻る選択肢はありません。シリンダーはその位置で停止し、空気圧エネルギーが再供給された時に、そこに留まる必要があります。これらのアプリケーションでは、パイロット操作チェック付の5/3オープンセンターバルブが日常的に使用されており、システム全体のソフトスタートには全く影響がありません。これは、静止状態で、下流への流れが妨げられているバルブへの圧力が必ずゆっくりと上昇するからです。このことにより、使用箇所でソフトスタートデバイス又はメーターイン流量制御が使用されていない限り、バルブが最初に動作した時に、アクチューエーターバルブへの空気圧供給が最大の圧力となり(シリンダーの少なくとも片側に圧力が無い間)、これが機械の急激な初動を引き起こします。

 

メーターイン流量制御と使用箇所でのソフトスタート使用の主な違いは、事前設定された立ち上げ時の圧力に達した後、ソフトスタートの場合は全開流量が可能になることです。また、メーターイン時の問題も忘れてはなりません。スリップスティックシリンダー動作は機械プロセスに大混乱をもたらします。ただし、使用箇所でソフトスタート機器をメーターアウト流量制御機器と使用する際、空気圧エネルギーの再供給とシリンダーの速度が制御され、シリンダーの通常のスムーズなサイクルを妨げることはありません。シリンダーは、機械操作のあらゆる面で制御されます。

 

 

システム全体のソフトスタートを使用しない場合のもう一つのポイントは、これらのデバイスは、特定の圧力に達するまで空気圧をゆっくり下流にバイパスして、その後完全に開いて全圧力をバルブへと流す設計がされている点です。このバイパスの流れは通常制限されており、調整可能ですが制限の範囲を超えている場合があり、残念ながら空気圧システムは、ほとんどの場合が漏れに悩まされています。弁が完全に開く前に圧力が高まっていくことに依存するこのようなシステムでは、ソフトスタートバルブの下流の漏れがバイパスフローの能力と同等もしくはそれ以上場合、ソフトスタートバルブが完全に開かないという弱点があります。

 

エアーブローや真空発生器などの一部の機械プロセスでも、常に圧縮空気を消費します。このエアー消費は、実質的にはソフトスタートシステムの”漏れ”と見なされます。このようなシステムでは、ソフトスタートが完全に開いて全開流量が流れた後か、もしくは使用箇所機器を使用するまで、システムの漏れ領域を分離させるために、より複雑な回路を取り入れることが絶対に必要です。

 

 

機械回路全体の上流にソフトスタート機器を設置することが推奨されることが多いですが、多くの場合は、これは最善の解決策ではありません。一方、使用箇所にソフトスタートを流量制御機器と組み合わせて使用すると、必要に応じてエネルギーの初期のエネルギー再供給が制限され、安全イベント中に位置を維持して、空気圧が再供給されたら継続動作を始めなければならない機械のスピード制御に対して最も一貫したソリューションが提供されます。これは、特に高制御信頼性空気圧排気バルブと5/3オープンセンター方向制御バルブを使用してシリンダー動作を制御する安全システムに当てはまります。

 

 

 

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