被災者への賠償だけじゃない!労働災害が起こると企業には大きなダメージが!

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大型の機械や危険性の高い機械が設置されている工場などでは、小さなミスから大きな事故に発展する可能性があります。事故が発生すれば作業が中断されるのはもちろん、被害者に対しての賠償費用など多くの損害が発生します。こうした企業、経営者が労働災害によって被る損失を災害コストといい、経営していく上で無視できない問題となっています。
そこで今回は、労働災害によって発生する災害コストの事例についてご紹介します。

被災者本人に支払われる直接コスト

労働災害が発生して作業員が被災した場合、その作業員に対してさまざまな賠償が行われます。こうした被災者に直接支払われるコストのことを、直接コストといいます。
直接コストには、保険給付としての法定補償と保険給付外の会社補償があります。前者には療養補償費や休業補償費、障害補償費、遺族補償費などが含まれ、後者には休業手当や療養費・見舞金、障害手当、退職加算金などが含まれます。例えば、搬送用ロボットのアームと機械との間に挟まれて作業員が死亡した事例の場合。この事例で発生した直接コストとしては、入院費約85万円、休業補償費約24万円、葬祭費約430万円、遺族補償費約4,800万円などがあります。この事例からも分かるように、労働災害によって作業員が死亡した場合には直接コストは大きく跳ね上がります。

直接コストより大きくなることも多い間接コスト

労働災害によって発生するコストは、直接コストだけではありません。被災者に支払われるコスト以外のコストとして、間接コストがあります。実はこの間接コストは、直接コスト以上に重くのしかかってくることが多いものなのです。
間接コストには、人的損失や物的損失、生産損失といったさまざまなカテゴリがあります。人的損失としては、救助・連絡・介助等にかかった時間に対する賃金、調査・対策・記録等の時間に対する賃金、関係官庁との折衝等の時間に対する賃金、作業手待ちの時間に対する賃金などがあります。物的損害としては、建物や設備の損費・復旧費、材料や製品の損費・復旧費などがあります。生産損失としては、災害による生産減少による損失、生産減少を回復するための経費などがあります。

直接コストと間接コストの関係については、1926年にハインリッヒが発表したレポートの中で言及されています。このレポートでは、間接コストは直接コストの4倍になることが示されました。この直間比1:4という考え方は、その後の災害コスト関連の思想に大きな影響を与えています。
ただし、直接コストと間接コストは必ず1:4の関係にあるわけではありません。例えば前項でご紹介した死亡事故の事例では、直接コストが約5,400万円だったのに対して間接コストは約4,400万円となっています。また、別の不休災害(被災者が休業しない軽微な事故)の事例では、直接コストが約10万円だったのに対して間接コストは約220万円となっています。このように、被災者の被害状況や事故の規模などに応じて、直接コストと間接コストの金額は大きく変動します。ハインリッヒは自身が調査した事例の統計から直間比1:4を提唱しましたが、日本では設備被害が大きい爆発事故や火災などを除いて直間比1.15倍~1.5倍程度に収束するとも考えられています。

今回ご紹介したように、労働災害による損失は非常に大きなものとなります。被災者本人に対して支払う直接コストはそれほど大きくない場合でも、それ以外の損失である間接コストが大きくなるケースはめずらしくありません。イギリスのある大学での研究では、間接コストが直接コストの8倍~36倍になるという結果も出ているのです。
労働災害が発生すればこうしたコスト面での損失があるのはもちろんのこと、企業イメージの低下や作業員の離職、定着率の低下などさまざまな問題にもつながります。事故を起こさないための安全管理は企業のあらゆる利益に関係するため、決しておろそかにしないように注意が必要です。

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