MTTFを鵜呑みにするのは危険?MTTFと信頼度の関係

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何らかの機械やシステムを導入する場合、その製品の寿命は大きな選定ポイントのひとつです。寿命が長ければ、それだけ長く安全に製品を利用することができます。そうした製品の寿命を知るための指標のひとつが、MTTF(平均故障時間)です。MTTFはその製品が稼働してから故障して使えなくなるまでの時間、いわゆる平均寿命を表すもので、例えばMTTFが10年の場合は「平均して10年間は稼働することができる」となります。
しかし、MTTFが10年である製品は、必ず10年間動くというわけではありません。実は理論上は、MTTFに達するまでに約63%の確率で故障すると考えられているのです。なぜ、このような理論になるのでしょうか。今回は、製品の信頼度とMTTFの関係性についてご紹介します。

製品が動いている確率を示す信頼度

なぜ「MTTFに達するまでに約63%の確率で故障が発生する」という理論になるのでしょうか。その説明に欠かせないのが、製品の信頼度という指標です。
信頼度は、単位時間内に機械やシステムが動いている確率を示しています。信頼度が1であれば、その機械・システムは単位時間内で故障することはありません。信頼度はシステムごとの信頼度の乗算で求めることができ、例えば信頼度が0.8のシステムと0.9のシステムで構成されているシステムの全体の信頼度は0.8×0.9=0.72となります。

信頼度は、故障率から求めることもできます。この場合、信頼度は以下のように表すことができます。

R=e^-λt(Rは信頼度、eはネイピア数、λは故障率、tは時間)

例えば1年間に0.5回故障する製品(故障率は0.5)の2年間での信頼度を求める場合、

R=e^(-0.5×2)=e^-1=0.37

となります。この式から、故障率が高いほど、時間が長いほど信頼度が低くなることが分かります。また、故障率は1/MTTFで表すこともできます。

MTTFと信頼度との関係

上記を踏まえた上で、MTTFと信頼度の関係について考えます。

例えばMTTFが10年の製品の場合。この製品の故障率は1/10=0.1で、一定であると仮定します。この製品を1年間稼働させた場合の信頼度は、

R=e^-λt=e^-0.1×1=e^-0.1=0.9048=90.48%

となります。ところが、tをMTTFである10年に近づけていくと、信頼度は目に見えて低下していきます。t=2で81.873%、t=3で74.082%となり、MTTFであるt=10では

R=e^-0.1×10=e^-1=0.36788=36.788%

となるのです。

上述したように、信頼度は単位時間内に機械・システムが動いている確率であるため、約37%の確率でしか正常に動いていないということになります。つまり、約63%は故障する確率があるということなのです。
これは、MTTFがどれだけ大きくなっても同じ結果となります。例えばMTTFが100年、故障率が1/100=0.01で一定という製品の場合、t=100での信頼度は

R=e^-0.01×100=e^-1=0.36788=36.788%

となり、同じく約63%の確率で故障するという結果となります。仮にMTTFが1,000年だとしても、t=1,000の場合は-λtが-1となることから、理論上はMTTFを迎えるまでに約63%の確率で故障するという結果が示されます。こうしたことから、MTTFはどれだけ長く設定されていたとしても、MTTFを迎えるまでに故障するケースは十分にありえるといえます。

MTTFは、製品の寿命を知るための指標としてよく利用されるものです。製品のMTTFが分かっていれば、その製品の平均寿命を把握することができます。しかし、今回の記事でご紹介したように信頼度の計算からすれば、理論上はMTTFを迎えるまでに約63%の確率で故障すると示されています。
MTTFは製品の寿命を知る上で重要な指標となりますが、その数字を鵜呑みにしてはいけません。特に安全関連製品を選定する場合には、MTTFだけで判断していると大きな事故につながる危険性も考えられます。MTTFを指標のひとつとして活用しつつも、理論上はMTTFを迎えるまでに故障する確率が約63%あることを意識しておくことが大切です。

なお、MTTFとよく似た言葉に、「MTTFd」があります。ISO13849-1「機械類の安全性 ―制御システムの安全関連部」による機能安全の尺度で「PL(パフォーマンスレベル)」を満たすパラメーターのひとつですが、「安全関連部が危険側故障を起こすまでにかかる平均的な時間」を表しています。次回は、このPLやMTTFdに関してご紹介します。

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