安全を学ぶ最初の一歩。世界の安全規格とは?

機械安全

機械やシステムを運用する場合、その安全性は大きな焦点となります。どれだけ優れた機械やシステムであっても、安全性が保証されていなければ安心して利用することはできません。安全性を保証する手段としては、安全規格が導入されています。近年は機械やシステムの輸出・輸入が盛んに行われているため、安全規格も自国内だけで通じるものではなく、世界共通の規格が必要となります。そこで定められたのが、国際規格であるISO規格やIEC規格です。今回は、そうした国際規格の体系についてご紹介します。

国際規格であるISO規格とIEC規格

機械やシステムの国際安全規格としては、ISO規格とIEC規格があります。このふたつの規格は、それぞれ対象としている分野が異なります。

ISOは正式名称を国際標準化機構(International Organization for Standardization)といい、電気・通信および電子技術分野を除く全産業分野に関する国際標準化機関です。これによって定められた国際規格のことを、ISO規格といいます。1947年に発足し、現在ではおよそ160カ国が参加しています。
これに対してIECは正式名称を国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)といい、電気および電子技術分野に関する国際標準化機関です。これによって定められた国際規格のことを、IEC規格といいます。1906年に発足し、現在ではおよそ80カ国が参加しています。
工業の分野では、ISO規格は機械系統、IEC規格は電気系統の安全規格であるといえます。

ISOとIECは別々の機関であり、それぞれの分野に必要な規格を制定しています。しかし、そうした規格は個々の機械やシステムに合わせて定められているわけではありません。機械やシステムは常に進歩するものであるため、個別に対応することは不可能だといえます。そこで定められたのが、ISO/IECガイド51です。ISO/IECガイド51ではISO・IEC規格を3つの階層に分け、それらを組み合わせることであらゆる製品に対応できるようにしています。

ISO/IECガイド51での3つの規格

上述したように、ISO/IECガイド51ではそれぞれの規格を3つの階層に分類しています。その分類は、以下の通りです。

 

A規格

A規格は基本安全規格と呼ばれるもので、「すべての機械類で共通に利用できる基本概念、設計原則を扱う規格」と定義されています。かつては3つのISO規格で構成されていましたが、現在はそれらをひとつにまとめたISO12100:2010のみで構成されています。

 

B規格

B規格はグループ安全規格と呼ばれるもので、「広範囲の機械類で利用できるような安全、または安全装置を扱う規格」と定義されています。B規格にはISO規格、IEC規格ともに多くの規格が含まれていて、代表的なものとしては「ガードと共同するインタロック装置設計および選択の原則(ISO14119)」や「機械の電気装置第1部:一般要求事項(IEC60204-1)」などがあります。

 

C規格

C規格は個別機械安全規格と呼ばれるもので、「特定の機械に対する詳細な安全要件を規定する規格」と定義されています。広い範囲をカバーする他の2種類の規格とは異なり、機械の種類別に細かく設定されているのがこのC規格です。B規格同様、ISO規格、IEC規格ともに多くの規格が含まれています。

 

上述したように、A規格、B規格、C規格はそれぞれカバーしている範囲が異なります。A規格が最も範囲が広く、C規格が最も範囲が狭いということから、原則としてはA規格の要求に基づいてB規格を規定し、A規格とB規格の要求に基づいてC規格が規定されます。そのため、機械類の設計で適用規格を決定する際に仮に適用可能なC規格が存在する場合は、それだけで安全基準を満たすことができます。しかし、前項でもご紹介したように機械やシステムは日々進歩するものであり、適用可能なC規格が存在しないケースや既存のC規格の適用範囲を超えるケースなどはめずらしくありません。そうしたケースでしっかりと安全性を確保するために、A規格やB規格の要求に基づいた安全性評価を行うことが大切なのです。

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